リフォームのポイント

Renovation

間取り(リノベーション)

美しい住まいのカギは
「動線と収納」の組み合わせ

美しい住まいのための4つのセオリー

設計を引き受けるときは、建て主の方の暮らしを理解し、住まいに対する考え方を共有するために、時間をかけてヒアリングをしています。
そこで出てくる「家の悩み」のトップは、収納の問題です。
「片付けても片付けても、散らかってしまいます」「物が多すぎて、しまう場所がありません」。みなさん、そうおっしゃいます。
実際に、片付かない原因、家が散らかる原因はどこにあるのでしょう?
たいていの人は、自分の家事能力や性格が原因だと思っています。
でも、これまで多くの家を見てきた私の経験からいえば、片付けがうまくいかない原因は、その家の間取りや収納に問題がある場合が多いのです。
「片付かないのは、あなたのせいじゃないですよ」と言葉をかけると、思わず涙ぐんでしまう方もいらっしゃいました。
私はいつも、自信を持ってこう言います。「捨てなくても大丈夫。片付けなくても自然に片付く家をつくりましょう」。
そのために、設計前に建て主の方の持ち物の量や家具を把握し、新居での置き場所をすべて決めるようにしています。そうすれば、各所に必要な収納スペースを設計に盛り込むことができるからです。
ここで大切なのは、「動線上の最適な場所に、収納を設けること」。収納だけをむやみに増やしても、意味がありません。動線と収納がリンクして、初めて意味があるのです。

そしてもうひとつ提案しているのが、「高密度収納」。床から天井までの高さをいっぱいに使い、棚の枚数を増やすという収納法で、限られた空間で、収納スペースを増やすためのテクニックです。
「収納スペースを増やすより、物を減らすべき」と考える人もいます。でも、それができない人がたくさんいるからこそ、いつまでも収納の悩みはなくならないのではないでしょうか。私は、極力物を捨てずに片付ける方法を提唱してきました。高密度収納を使えば、小さな家にも大きな収納スペースが生まれます。
これらの工夫により、片付けを意識しなくても、自然に片付き、散らからない家になります。新築でも、リフォームでも、今までに設計した家は、その後、いつ訪ねて行っても物があふれていることはありません。効率的に整えた収納スペースをうまく利用して、さっと人を迎えられる状態にできるのです。

動線とセットで考えると、片付けはうまくいく

収納の第一の原則は「適所にしまう」です。「使う場所の近くに物がある」、つまり「使う場所の近くに、物の住所を定める」。とにかく、これを徹底させることです。無駄な動きがなくなることで、家事や身支度にかかる時間効率がよくなるうえ、片付けなくても片付く“散らからない家” に近づきます。
たとえば、パジャマや下着が洗面室に収納してあれば、お風呂に入るときにどこへも寄らずに洗面室へ直行できて、動線の無駄がなくなります。「生活行動に合った場所に必要な物を置く」という原則で、物の定位置を考えることが、「片付けなくても片付く住まい」をキープするための意識改革につながります。

家族の協力を得られやすい収納を考える

片付けはひとりの責任ではありません。家族みんなの協力なしには、美しい住まいは成り立たないものなのです。左のチェックリストで気づいた「迷子になりやすい物」、そして「共用の物」は、みんなの目についてわかりやすい場所を住所にして、それを家族全員に知らせるようにすると、協力が得られやすいでしょう。
また、「自分だけが使う物」は、自分用のかごに入れて責任管理する、というのも、洗面室などでよくおすすめしている方法です。たとえば下着用のかごも、ひとりにひとつ。ヘアケアや化粧品小物なども、必要な分だけかごを用意して、収納させます。各自、使うときには棚から出して、使い終わったら戻すというルールです。
こういった工夫で、「誰かがなんとなくその辺に置きっぱなし…」という物を減らすことができます。

「スケール感」を持つことで収納上手になる

住まい上手や、インテリア上手になるための第一歩として、1~2m程度の小さなスケール(メジャー)を、常に持ち歩くことをおすすめしています。
リフォームを考えている人や、家具を買い替えようと思っている人、ちょっとした工夫で収納スペースを増やしたいという人は、いろいろな物を測ってみると役立ちます。 タオルをたたんだときの幅を知ると、洗面所の棚に必要な奥行きがわかりますし、洋服の肩幅がわかれば、クロゼットの奥行きがわかります。
一般的なグラスの高さは9cmほどなので、グラス用の棚一段の高さは、思ったより低くてもいいということがわかります。
目で見て自分が思う寸法と、実際に測った寸法とを比較すれば、自分の“スケール感” がどれくらい正しいか(正しくないか)がわかります。やがて自分のなかに生まれる“スケール感” が、住まいをより良くする際の強力な武器になるはずです。

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